TAP2006 Satellite Gallery 取手アートプロジェクトサテライトギャラリー
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Vol.10 2006.6.2-2006.6.25

「杉山啓子・red dress+片山健・やわらかな硬さ」

2006年度 第2弾のTAPサテライトギャラリー企画展Vol.10「片山健+杉山啓子」6月2日(金)‐25日(日)は、幅広い年齢層の市民や、郊外からのアートファンが訪れ、盛況のうちに終えることが出来ました。
今回は取手市を拠点に制作活動をおこなう2人による展覧会。片山はTAP2005で東京芸大の卒業生と共同運営する「アトリエ蔵」を、一方の杉山もTAP2003で白山通り商店街で「出張スタジオ」を公開し、共にTAPオープンスタジオでの参加経験があります。
片山は石彫作品『やわらかな硬さ』を展示。この作品を構成する3つの石彫には、それぞれ相反する様相を持ちます。鋭いフォルムを持つ表面は、穏やかな光をたたえる一方、粗く削り取られた表面は、鈍い硬さを醸しだしています。しかしこうした様相は矛盾しあうことなく、融合しあい、「やわらかな硬さ」という1つの要素として作品の存在感を強めています。観客は実際に作品に触れることで、視覚と触覚、両方の感覚によって得られる経験を探っているようにも感じられます。距離を保って展示されるそれぞれの石は、ギャラリー内で互いに呼応しあうように共生し、観客はその空間を楽しんでいるようでした。
一方杉山はエッチング技法で花びらが刷られた和紙片を重ね、繋げていくことで、鮮やかな『red dress』を発表。細密に刻み込まれた版画は、精緻に織り込まれた布のようであり、やわらかな印象を人に与えます。一度杉山が線という要素に還元して描出した花は、再びコンポーズされることで、有機性や活力を得たように感じられます。表面には蕾や種子も描かれ、生々しくも植物の「生」を物語っています。それぞれが繋がり合って生まれたドレスを見ていると、世代の連鎖や、植物がもちうる母性すら感じさせました。
(TAPサテライトギャラリースタッフ・清水彩)

杉山啓子・red dress リーフレット1
杉山啓子・red dress リーフレット2
片山健・やわらかな硬さ リーフレット1
片山健・やわらかな硬さ リーフレット2

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