TAP2006 Satellite Gallery 取手アートプロジェクトサテライトギャラリー
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Vol.4 2005.9.9 - 2005.9.25

「部屋(ウチ)の輪郭」  :北川貴好

部屋について 部屋というものは、四角いけど、何かぼんやりとしたイメージがします。私たちは毎日自分の部屋に帰るのですが、そこには自分の生活をする場と自分の内面が反映された意識的な場があり、それらは二重写しとなって存在しています。 東京都庁最上階に登り展望台から街を見下したとき、家が地平線まで続く光景を見ることができます。家が余りに接しているため、家でなく部屋が連続しているようであり、東京に集まる人ひとりひとりが、そこに反映して現れているかのように見えます。それらは密集した意識の集合体ですが、それぞれが満員電車のように距離を取り合って内側に向きながらたたずんでいる様でもあります。ウチという言葉の裏にはソトというものがあるはずなのですが、ウチが密集した光景からは感覚的にそのソトというものをつかむことができません。部屋と部屋の間の空間、ウチとウチとの裏側の空間が、ただつながっているだけなのです。 部屋(ウチ)の輪郭において、格子状に開いた穴からの視線や光が差し込むことによって、気配だけが残った幻想的な部屋を作りました。だがそこは、外への開放的な方向性は無く、内側とその内側の裏しかない境界面とで成り立っています。現在の淡くもろい環境の狭間に生まれた部屋の輪郭は、何かが欠落したまま浮遊して、ただそこに虚像としてぼんやりと漂っているのです。作品は、ただそのまま何かが欠落した虚像のままで部屋(ウチ)の有様を提示しているのです。


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