Vol.1 2005.6.3 - 2005.6.26
「水精 Water Spirits」 :森山優子(作家)
取手の水風景は私の心のふるさとです。しかし私だけでなく、多くの人が水に神秘的なふるさとを感じるのではないでしょうか。独りで静かに目を閉じると心の中に水風景が見えてきます。それは、ある時は暗く恐いものであったり、また時には澄んでずっと遠くへ広がっていきます。私は作品の中でそんな風景を表現したいと思っています。
Water Spiritsというタイトルは8年前にロンドンで見たプリンツホーン・コレクションの展覧会の作品のひとつからとりました。これは20世紀初期にハイデルベルグの精神科医Hans
Prinzhornが収集した患者の作品集です。その中には鉛筆画なども多くあり、素朴ながらも心の向こう側まで見えるような作品に深い感銘を受けました。私は、水を描くことにより、意識の世界を超えた何かを表現できればと思っています。
小作品の青写真はサイアノタイプという技法を使っています。1842年イギリスの天文学者John Herschel
によって発明された、簡単で耐久性がある写真なのですが、青いので、写真としてはあまり普及せず、設計図などに使われていました。しかし私はその深い青色が気に入り作品に使ってみたいと思いました。私の鉛筆画は、川などで撮った写真をもとにしているのですが、その写真にサイアノタイプを使いました。今回のシリーズは小貝川です。鉛筆画とはまた違った表現ができたと思います。
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