Vol.8 2006.3.3 - 2006.3.26
芥川真也
目が覚めているとき、ひとは日常の行為でさえ行為の意味を無意識に脚色します。そのような現実的な作用とは少し違う、色とラインとそこから生まれる空間、映し出されるイメージが同じ価値を持った「物語」の組み立てを研究しています。見ていて繋がりを失うかもしれませんが、ぜひ作品の中に身を置いてみてください。
桑山佳代子
夜中に目が覚めて、底知れないこわさを感じることがありました。それはお化け的なものではなく孤独感のようなもので、これまでになかった感じでした。のんきで平和な気持ちにつつまれて眠っていたじぶんを幸せに思いました。孤独感のようなものはこれから齢を重ねるにつれてますます強くなるかもしれないけど、わたしを励ますものがあるといいと思う。
TACOROOM
『ホーム』は映像制作集団「TACOROOM」が誕生するきっかけとなった作品です。パペットアニメに対して抱いていた登場人物が少なく暗いというイメージを逆転させ、多数の登場人物に時代劇のセットでチャンバラをさせようと考えていました。その後サラリーマンの戦場である閉ざされた空間―現代の地下鉄に舞台を置き換え、現在のシナリオになりました。制作中に八山と青木が加わり、一夏をかけて完成させました。その後西尾が加入し、現在のTACOROOMのメンバーになりました。
『Town』はロックバンド「アナログフィッシュ」のコンセプトに基づき、現代の都市風景とそこに暮らす人々を細密なアニメーションで表現したミュージックビデオです。限られた制作期間で、コンセプトを明確に伝えるためパペットアニメ以外のさまざまな技法を駆使しました。それぞれの得意分野に担当を分け、チームとして培ってきたもの全てを発揮し完成させました。
名取祐一郎
切り絵アニメという方法で、「動く絵画」というコンセプトで制作しています。切り絵アニメというのは、あまりテレビアニメでは見かけることが少ない珍しい手法です。絵の具の肌合いを大事にしながら作りました。
松本力
私がアニメーションを作るきっかけになったのは、子供の頃に父が作ってくれた1冊の絵本でした。なぜか1頁目のみで、続きは描かれなかったけれども、その山間に佇むオバケの絵がずっと心に残っていました。思い出して描こうとして、こころの中で醸造されていた存在に気付かされました。それは自分の中の「他者」であり、絵を描く力を与えてくれたようでした。絵のオバケたちは、同じエネルギー源から照射された生きたアニメーションそのものでした。フレームの絵と絵の間にあるもの、心象風景の中で結実させた目には見えない世界を外へ映すのです。時間と空間の先に、オバケが不安と希望が一つになった歌をうたっていて、私はその声を聞く、絵のシャーマンになりたいのです。心の中と世界を繋げて紡いでいきたいと願っているのです。
村田朋泰
作家(美術家、芸術家、小説家など)というのは唯一個人の見解から物事を考える人種なわけで、そこに普遍的な要素は必要ない。というよりそれ自体も作家の判断力なわけだ。周りがしてるから自分も同じようにやらねばならないなんてタイプは作家になれないし、なるべきではないです。回りの評価というのはおのずとついてくると思ってるけど、そもそもその評価ということ自体あまり意識してないんだ僕は。自信があるわけではないです。僕は表現していかんと生きている感じをつかめない。女性だったら、赤ちゃん(生命)を生み出すことができるからこれはもうそれだけでも生きている価値があると感じてしまうわけだけど男の場合、特に僕みたいなタイプはそういう根源的なところに帰結してしまうから男なんてのはこの世の中にそんな多く必要ないんではないかと思ってしまう。特に今という時代。生きている感覚ってのは人それぞれだけど、僕の場合、自己の解剖解体再構築を繰り返し生きていくことで、僕=作家の生き方と思ってる。今この瞬間感じていることを追究していく日々が作家の本質じゃないかと。
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