TAP2006 Satellite Gallery 取手アートプロジェクトサテライトギャラリー
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Vol.8 2006.3.3 - 2006.3.26

「アートアニメーションの現在」によせて

アートアニメーションの現在展示風景
アートアニメーションの現在展示風景

2005年6月のオープンから、TAPサテライトギャラリーは8回目の企画展を迎えた。ゲームセンターや喫茶店、市役所の出張所が混在するショッピングセンターの一角にあるこのギャラリーでは、現代美術に馴染みがない通りすがりの人たちからは、「入りにくい」「アートのことは良く分からない」という反応も少なくはない。しかし、テレビや映画館など日常の中で気軽に親しんでいるアニメーションの展覧会ならばどうだろうか。より多くの方々が「アートアニメーション」に触れてもらうきっかけとなることを意図し、TAPインターンと共に今回の企画を立ち上げた。

「アートアニメーションの現在」に出展したアーティストたちの多くは、意識的に美術家としてアニメーションを制作している作家である。彼らは絵画や彫刻のような芸術表現を原点に、作品世界のイメージの創造にこだわりを持ち、原画や人形を動かす。中にはミュージックビデオやテレビのCMなどを手がける者もいるが、その表現はマスメディアや商業ベースに乗るような一般的なアニメーションとは、明らかに趣を異にする。
Mr.Childrenのプロモーションビデオも制作する村田朋泰や、テレビやCMの映像にユニークな世界を彩るTACOROOMは、アートアニメーションの広がりを物語っているといえよう。一方、絵巻物マシーンによってアニメーションの原点を伝えながら、一枚の絵を描くように原画を増殖させていく松本力、アニメーションの構造そのものを探求する芥川真也、「動く絵画」をコンセプトとする名取祐一郎や、独特な白黒のイメージを描き出す桑山佳代子の作品には、アートアニメーションならではの魅力が感じられる。

今回の展覧会では、大ギャラリーで上映を行ない、小ギャラリーでは原画や絵コンテ、セットなどの展示をあわせて行なうことで、アニメーションを鑑賞しながらその制作プロセスを垣間見ることが出来る仕組みをつくった。これらの展示は、アートアニメーションの性質を伝える上で、アニメーションの上映と相互補完的な役割を担ってくれるであろう。「アートアニメーション」を楽しみながら、アートは分かりにくいものであるという先入観から解き放たれる場となることを願いたい。

(東京芸術大学助手・TAP事務局 及位友美)


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