アートのある団地 - 上原耕生「IN MY GARDEN」
終了しました 2015/11/16
2013年よりスタートした「IN MY GARDEN」プロジェクト。住民の方々から寄せられた約90通の「戸頭団地の思い出やエピソード」をもとに、アーティスト上原耕生が構想や空想を広げ、戸頭団地の壁面をキャンバスに見立てて描いた作品群です。戸頭団地の6街区から4街区へと広がる8棟12作品を、添えられたエピソードとともにご紹介いたします!
《Every morning》
毎日、散歩で通る団地の中の緑がとてもきもちよくて大好きです。あとパンが大好き。おいしいパン屋があるのが自慢です。(戸頭団地在住22年 女性)
5歳の頃、はじめて1人でお買い物した場所。(ちなみに買ったのは牛乳) 後ろからお母さんとおばあちゃんがついてきた(笑)(17才)
《ここだけのはなし》
※ぜひ作品近くに設置されているキャプション(説明看板)にて、添えられているエピソードをご覧ください。
《Memory》
ママがスーパー行っている時にまっている。 (提供者不詳)
子供達が楽しくサッカーをしていました。戸頭FCが今年30周年をむかえます。 (35才 男性)
《At home》
自宅4階のベランダから見る朝焼けが好きです。ちょうど、もくせい公園の奥にそびえる小学校の校舎がモンサンミッシェルのよう。(戸頭団地在住31年 女性)
戸頭団地で友だちや家族とあそぶ時が楽しい。 (12才 男性)
《Cafe terrace》
私は午前中にシルバーカーを押して、カラー道路を歩くのが好きです。まず図書館に行き好きな本を借り、その後におやすみ処に行きコーヒーを飲み、 顔なじみになった人達とお話をして帰ってきます。 (提供者不詳)
《非日常口》
※ぜひ作品近くに設置されているキャプション(説明看板)にて、添えられているエピソードをご覧ください。
《Book climbing》
戸頭団地の好きな場所、それはとがしら公園。この場所でラジオを聞いたり本を開いたりして、ひと時を過ごす。 (73才 男性)
写真(Memory・Book climbingを除く):伊藤友二
《美しい住まい — UR都市機構》
戸頭に越してきて今年の9月で30年になります。何も考えずに団地の1階に住むことになりました。 何か最初からとても住みごこちが良かったような、おかげさまで2人の子供たちものんびり、優しく成長してくれたような気がします。(61才 戸頭団地在住30年)
《扉の向こう側》
もし、このドアを開けて、22年前にタイムスリップできたら…などと思いながら。カラー道路トンネル前の大きなもみの木。 自転車の前後に娘をのせて、幼稚園に通うたび、見上げて力をもらいました。あの頃の緑と、鳥のさえずりのままの戸頭が大好きです。 (提供者不詳)
《Sometime》
毎朝、食事をしながらベランダ越しにみる風景。それはウィークデーのAM7:30。あちらからスーツを着たお父さん達が駅の方へ右に曲がって行きます。 今、8時10分前。私は団地のこの朝の時間が好きです。(83才 戸頭団地在住16年 女性)
《Every time》
駅へ通じる通りに柔らかい風が流れる瞬間が心地良い。 (提供者不詳)
桜の季節が好き。私の中ではNo.1の名所。朝もよし。夜もまたよし。(40才 戸頭団地在住1年 女性)
《Life style》
ベランダから見る子供達の元気な姿。(提供者不詳)
周囲の景色とともに楽しむこれら作品群。「私の庭」で、それぞれの物語を想い描いていただけたら…。ぜひ現地にて、季節の変化とともにご覧ください!
作品マップはこちら。
戸頭駅までは—
「IN MY GARDEN」プロジェクトは、UR都市機構による長期修繕の外壁補修工事と組み合わせ、居住空間の外壁をアート作品化するプロジェクトです。2013 年6 月から約2ヶ月、戸頭団地やその周辺にお住まいの方々を対象に、「戸頭団地にまつわるエピソード」を集めました。寄せられた約90 通のエピソードからアーティストが着想を得て、団地の壁にアートを展開。2014年3月より工事が着工し、2014年9月に計12作品が完成いたしました。
例えば、キャンバスに描かれたお気に入りの絵をリビングに飾るように、窓枠の向こう側の景色や団地の壁面を、“空間のキャンバス”として見立ててみる。
あるいは壁の中の住人の気持ちになって、壁の内側から創造の扉を開けてみる。扉の先には見渡す限りの空や緑、町並みが広がっている。この壁を通じて自由に想像をすることで、観る人それぞれの「私の庭」が創られていく。 ——上原耕生
現代美術家。1982年沖縄県生まれ。2010年東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。美術館やギャラリーといった既存の展示空間や手法にとらわれず、外壁や空き地等の日常空間を使い、空間そのものを作品化する表現を行う。壁画シリーズの他にペインティングと映像の光を掛け合わせた『white paintingシリーズ』等がある。2011年より茨城県大子町にある精神科病院にて造形教室の専門スタッフとしても活動中。