アートのある団地 - いこいーの+Tappino, アートのある団地 - そうぞうする団地

そうぞうする団地 実験パートナー #07:浅野ひかり ASANO Hikari

開催中 2025/04/18


暮らしながら、それぞれが”そうぞう”することを通じて、 少し先のまちを手づくりする。
取手井野団地ではじまっています。

今回は、井野団地や取手のまちで生活している方とともに、少し先のこの地域・この社会に必要な「仕組み」を実験し、団地を起点に将来の設計をつくっていくことを目指して活動するパートナーとその取り組みをご紹介します。

 

そうぞうする団地についてはこちらから

 

#7でご紹介するのは、アーティストの浅野ひかりさんです。
浅野さんは、2023年まで東京藝術大学取手校地で学び、現在はアーティスト・デザイナーとして活動されています。
「和室」や「畳」にスポットを当てた作品を多く制作されている経緯から、今回は普段の表現活動とはちょっと異なるアプローチで、団地の部屋には必ずあるその空間にどのような暮らしがあるのか、実際に暮らしている方とのコミュニケーションからひもといていきます。

実験パートナー

 

浅野ひかり Asano Hikari

(撮影:UBUNA)

略歴
1996 岩手県生まれ
2015 東京都立総合芸術高等学校 美術科 卒業
2019 東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科 卒業
2023 東京藝術大学 美術研究科 グローバル・アート・プラクティス専攻 修了
Webサイト

 

 

展示歴
2024年11月 ATAMI ART GRANT 2024[ATAMI ART VILLAGE]
2024年9月 終わりの遊園[北千住BUoY]
2024年9月 Art Fair Beppu 2024 [別府国際観光港 旧フェリーさんふらわあ乗り場]
2024年7月 Art×Nakano-アートに出会う区役所 [中野新庁舎 ナカノのナカニワ]
2024年5月 sanwacompany Art Award / Art in the House 2024 [サンワカンパニー東京ショールーム]
2023年10月 境界 – border – [藝大アートプラザ]
2023年9月 テラスアート湘南アワード2023 [テラスモール湘南]
2023年3月 丸い地球の模様替え – 仲町の家 – [北千住 仲町の家]

受賞歴
2024年5月 sanwacompany Art Award 2024 ファイナリスト
2023年9月 テラスアート湘南アワード2023 テラスモール湘南賞 受賞
2023年1月 Artの力賞 受賞
2019年10月 CAF AWARD 2019 ファイナリスト
2019年1月 平成藝術賞 受賞

 

そうぞうする団地での活動について

「きかせて!あなたの和室のくらし」

実施日時:2025年4月11日・18日・25日・5月16日・23日・30日(金)10:00〜14:00
場所:いこいーの+Tappino

和室にまつわるエピソードをインタビューして、1冊の本としてアーカイブする企画です。
井野団地で過ごす人を対象とし、あなたの和室にまつわるエピソードを1つお裾分けください!

「昔、家が和室だったけど、やむを得ずフローリングにしちゃったわ」
「今も和室に住んでいて、お昼はこたつで暮らしいて、夜はこたつを片付けて布団を敷いている」
「そもそも和室はおばあちゃんの家でしか見たことない」
など、様々な視点での和室エピソードをお待ちしております。

いただいたエピソードは、文章・イラスト・漫画……いずれかの方法で編集、発行いたします。完成した本は、ご参加していただいた方限定で1冊プレゼント。
和室の歴史、建築、工芸でもない、暮らす人にフォーカスした和室の本が誕生!

 

活動への想い

展示会場で自分の作品を前にして、鑑賞者とお話をしていると、いつの間にか作品のことよりも、鑑賞者の和室での暮らしを聞いている時がよくある。

私は和室をテーマとした作品制作を行っている。
直近の作品だと、鑑賞者がハンドルを回すと、宙に浮いたこたつがぐるぐる回転する作品や、テーブルセットや食器類を全て畳表で巻いた作品、畳表でできた巨大な積み木……などがある。
この作品たちは大体が体験できる作品であり、畳の扱い方や巻き方等は、凄腕の技術を持つ職人さんたちとの協働制作により、実現できている。

鑑賞者が作品に触ったり、動かしたりすることから、展示会場に常駐して、事故や怪我が起きないかを見張っていたり、作品コンセプトや畳職人との思い出を話す中で、いつの間にか鑑賞者自身の和室での暮らしを耳にすることが多々ある。
「畳は今住んでいる家にもある、でもこの素材がアート作品になるなんて信じられない」
「昔住んでいた家は和室があったけど、古臭くてカーペットを敷いちゃった」
「今住んでいる家はフローリングで、和室はないけれども、娘に畳を体験してほしい」
などなど、和室に対する見え方は人それぞれであった。
生活がどんどん効率的に、合理的になっていくなかで、人々にとって和室は必要不可欠ではなくなってしまったのだった。その変化から、和室に対する捉え方は世代によってグラデーションであることが面白い。

そもそも私が和室をテーマとした作品づくりも、私自身が四畳半の部屋に住んでいたことがきっかけで始まった。
当時住んでいた四畳半は壁が薄く、都内の住宅街に位置しているためか、とにかく外の音が丸聞こえだった。プライベートがあるようでないようなこの空間にフラストレーションが溜まり、どうにか作品として表現したかったのだった。
また、大人になってから、祖父母がかつて建具屋を営んでいたことを知り、和室の部屋が自宅にあることは当たり前と無意識に感じていたのは、祖父母の影響であることが分かった。

普段、私は製造業の方々と関わることから「どうやって和室や畳を存続させていくか」という話を聞く。畳業界は一般のお客さんのご自宅の畳替えだけでは充分な売上が見込めず、非日常的な空間として宿泊施設の客室や、外国人向けの施設に畳をおさめているそうだ。
今回の取り組みでは、和室で実際に暮らしている(或いは暮らしていない)人たちと話し、最終的には本としてまとめる。井野団地の部屋には和室があり、しかも定期的にリノベーションが行われている関係で、入居タイミングによって内装が少しずつ違うらしい。そもそも和室がある部屋がこんなに密集している時点で珍しいのに、内装が若干異なるのはより興味深い。
今回の企画を通して、国内での暮らしの変化や、和室の変遷に直面できるかもしれない、という可能性を信じている。

ぜひ、あなたの和室にまつわるエピソードをお聞かせください。

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