半農半芸 - 新小文間物語, 半農半芸 - 藝大食堂
終了しました 2022/10/27
TAP学生スタッフの杉野です!
今回は、アーティストの松原東洋さんを中心にスタートした、小文間を多方面から知るリサーチ。歴史や風俗だけでなく、現在の小文間で生活したり、時間を過ごしたりしている人びとにはどんな方がいるのだろう?実際に話を聞いてみたい!ということで、今回は小文間に住む方々の思い出ばなしを伺う機会をいただきました。
まずお話を聞いたのは、株式会社コウキ建設の根本さん。小文間生まれ小文間育ち、生粋の小文間っ子です。
根本さん思い出の定食屋・エビヤさんの前で一枚。子どもの頃、放課後に同級生の友だちとここでよく集まっていたそうです。地元の方にとっては当たり前に存在しているような場所でも、高校時代の放課後はほとんど直帰だった私にとっては、根本さんのエピソードは「ザ・青春」という感じがして少し羨ましくなりました。
二組目は、幼少期から小文間の近辺に住まわれている井原さんと太田さんです。
個人的には、太田さんの「お小遣いが5円だったから、駄菓子屋さんで1つ50銭のキャラメルを10個買っていた」というエピソードが印象に残っています。今と昔ではまちの環境も物の値段もまったく違う、というふうに頭で理解するのは簡単ですが、こうして一人の思い出ばなしとしていきいきと立ち上がってきたときに、教科書にはないゆったりとした時間の流れを見ているような、そんな不思議な感覚になりました。そのあとの井原さんの「あら、私は(お小遣いが)10円だったわよ」という合いの手にも、ついクスッと笑ってしまいました。
インタビューの後は、井原さん・太田さんとともに小貝川の河川敷へ。利根町にお住まいだった井原さんは小さいころ、小貝川の橋を渡ってよく小文間へお買い物に来ていたそうです。
秋の気配を感じる風に吹かれながら、橋をバックに一枚。写真には映っていませんが、左側からは小文間の土地が見渡せます。
そういえば久しく河川敷にきていなかったなあ……となんだかノスタルジックな気分になってしまった私です。東京にいるとなかなか気づきにくいけど、空って本当はこんなに広かったのか、とふと感じることができました。小貝川、私的お気に入りスポットになりそうです。
今回のインタビューを通して、本や文献で描かれている小文間とはまた違った、新たな小文間の一面を見ることができたと語る東洋さん。インタビューの合間に小文間を散策している途中、ふらっと立ち寄った集合住宅にも、畑や河川、大地が広がる小文間とは別の一部分を感じ、アイデアを探っていたご様子でした。
文字で歴史をなぞるだけでは見えてこない、そこに生活する人々それぞれが持っている「小文間」の形。今回のインタビューを通して、そんな小文間の思い出を知るだけでなく、私自身も自分にとっての「小文間」を感じることができたような気がします。さて、他にはどんな「小文間」の形があるのでしょうか。またいろいろな方のお話を聞ける機会が楽しみです。
文:杉野 若葉(東京藝術大学音楽環境創造科 学生)