半農半芸 - 新小文間物語, 半農半芸 - 藝大食堂
終了しました 2023/09/26
TAP学生スタッフの杉野です!
アーティストの松原東洋さんを中心にスタートした、小文間を多方面から知るリサーチ。今回は、小文間と関わりをもつ方々の思い出ばなしを伺う会、第3回目です。今回は大利根住宅にお住まいだという田口百合子さんに、ご自身と大利根住宅にまつわるお話をインタビュー。大利根住宅の中にある小さな公園にて、お話を伺いました。
厳しい暑さの中、まともにお話を伺えるのだろうか……と懸念していたのですが、なんと田口さんがいらっしゃったとたん日差しに陰りが。ちょうどよく陰った天気の下でインタビューを行うことができました。
26歳のときに、旦那さんとともに取手の大利根住宅に引っ越してこられたという田口さん。「ここに住んでまず良いなと思ったのは空気」だそう。
そういえば、前回のインタビューで玉井さんご夫妻にお話を伺ったときにも「小文間は空気がきれい」とおっしゃっていたのを思い出しました。小文間に引っ越してこられたからこそ、この土地の澄んだ空気の良さをより一層感じられるということなのかな、と、東京から小文間に訪れている私は思いました。
いっぽうで、子どもや若い世代が減少し大利根住宅かつての盛り上がりが衰えつつある、という問題もあるとおっしゃいます。
田口さんによると、以前は近隣の農家の方が畑を燃やしているところに登校途中の子どもたちがサツマイモなどを勝手に投げ入れ、下校時にそれらを取り出して食べる、なんていう光景があったそう。そのお話を聞き、かつての大利根住宅のにぎわいがありありと目前に浮かぶようでした。
自ら積極的に、団地の方々に困りごとや要望がないか訪ねてまわっているという田口さん。「年寄りと子どものためならいくらでも動けるもん」とさわやかな笑顔でおっしゃる姿に、私はひたすら「すごいなあ……」と感嘆するばかりでした。
インタビュー中も、大利根住宅に帰宅してきたお子さん・お母さんと「おかえんなさい。今日は暑かったね~」と楽しそうに会話されていた田口さんを見て、この土地での暮らしを心から楽しまれているのだなあ、という印象を受けました。
若者が減少している、盛り上がりが衰え始めている、という問題と隣り合いながらも、大利根住宅で生き生きと生活を送られている田口さん。インタビュー最後にこぼれた「住むのは楽です、気持ちが。落ち着いていきます」という言葉が、田口さんと大利根住宅との関係性を何よりもよく表しているように思います。
さて、次どのような小文間の風景が見られるのでしょうか。次回のレポートもお楽しみに!
文:杉野 若葉(東京藝術大学 音楽環境創造科 学生)