半農半芸 - TAKASU HOUSE

[活動展開] JAPAN BLUE「藍」― 有機天然顔料の精製技術に関する研究成果発表展

終了しました 2019/03/27


半農半芸ではじまった「天然素材からの顔料抽出と絵の具づくり」が実を結びます

TAPコアプログラム《半農半芸》パートナーアーティストの染織家・岡博美とディレクターの岩間賢が2012年から取り組んできた「藍」から抽出した天然色素を使った絵具づくり。この活動は、TAPでの活動をはじまりに、現在は東京芸術大学油画技法材料研究室と愛知県立芸術大学との科研費研究活動として継続されています。
その研究成果発表のお知らせです。《半農半芸》の活動の軸にある、自分が表現するために使う一つ一つの素材から、その成り立ちを学び、知り、そして自らつくり出していく、というコンセプトを体現する研究事業です。お近くの方はお誘い合わせの上、ぜひご高覧ください。

JAPAN BLUE「藍」― 有機天然顔料の精製技術に関する研究成果発表展
はじまりのいろ

科学研究費助成事業(17K18463)

本研究の目的は、1704年にハインリッヒ・ディースバッハがドイツ・ベルリンにて世界最初の人工顔料であるプルシアンブルーを発見したことで途絶えることになった有機天然顔料の精製技術を導き出し、JAPAN BLUE「藍」を顔料化させた絵具をつくることです。

これまでの研究で、茜・黄檗・矢車附子・胡桃・福木・丁子・檳榔樹・コチニールなどの植物を、加熱抽出と水簸によって植物色素の顔料化を可能とした。しかし、この手法では「藍」の顔料化ができなかったため「集積抽出」「過還元再抽出」「沈殿抽出」によって「藍」の色素抽出実験をおこない、極少量ながらも抽出に成功しました。

現在、顔料の分散性が高く粒子が微細かつ透明性のある有機天然顔料の精製方法を導き出し、絵具としての実用化に取り組んでいます。
顔料から絵具にするまでの過程を自然科学的調査・官能評価塗布試験・熟覧鑑査におこない、日本の絵画史における有機天然顔料の変遷を明らかにするものです。

*本研究は、産学連携機関としてDIC(株)分析センター、DICグラフィックス(株)において成分分析及び測色による色差の数値化をおこなっています。

展覧会

会期
2019年4月4日(木)―11日(木) 無休
開館時間
10:30-16:30
入場
観覧無料
場所
愛知県立芸術大学 芸術資料館 〒480-1194 愛知県長久手市岩作三ヶ峰1-114

研究報告会

日時
2019 年4月11日(木)14:00-16:00 事前予約不要(無料)
場所
愛知県立芸術大学 芸術資料館(展覧会と同会場)
発表者
秋本 貴透(東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻教授)
岩間 賢(本学美術学部油画専攻准教授)
岡 博美(染織家・藍染師)
白河 宗利(本学美術学部油画専攻准教授)
宮寺 雷太(版画家)
予約
事前予約不要(無料)

チラシPdfはこちらから

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出展者

 
岩間 賢|Satoshi Iwama(本研究代表者、愛知県立芸術大学准教授)
「物語性からはじまる色」
中国江南地方から朝鮮半島、日本へ渡来した「藍の道」を辿り資料収集をおこなう。「礦物顏料與現代重彩」に敦煌莫高窟にて「藍」の使用記述を発見し現地調査を実施。プルシアンブルーが江戸時代に日本に急速に広まった史実を検証する上で、中国少数民族を巡るなどフィールドワークを積み重ねて導き出した研究である。

秋本 貴透|Takayuki Akimoto(本研究協力者、東京藝術大学教授)
「官能評価塗布試験と熟覧鑑査」
ホルベイン工業(株)との産学協同研究「油一 / YUICHI」の研究開発主任を務めた。本研究では氏が考案した官能評価塗布試験(外観試験・グラデーション試験・描画性能試験・混色性能試験・表現性能試験)をさらに細分化し試験精度を上げ、官能表や総合評価レーダーグラフの作成を担当。

岡 博美|Hiromi Oka(本研究協力者、染織家・藍染師)
「有機天然顔料の精製と藍の顔料化」
前研究「有機天然顔料の調査・研究」では研究員として、2014年から茜・黄檗・矢車附子・胡桃・コチニールなどを加熱抽出し水簸による顔料精製実験に従事。本研究では藍の生葉栽培をはじめ、「集積抽出」「沈殿抽出「過環元再抽出」による藍の顔料化実験を担当。

白河 宗利|Noriyori Shirakawa(本研究協力者、愛知県立芸術大学准教授)
「自然科学的手法による分析」
(株)クサカベとの産学協同研究「絵画における新しい下地塗料の研究及び開発から商品化」において多孔質な絵画下地の研究開発を自然科学的手法によって解析した。本研究では、各研究資料の検証およびを耐光堅牢度試験、破壊・非破壊分析、高精度物質撮影による調査を担当。

宮寺雷太|Raita Miyadera(本研究協力者、版画家)
「有機天然顔料の変遷についての考察」
現在、東京藝術大学ファクトリーラボの講師として紙漉き工房を運営している。本研究では、化学顔料が使用される以前に存在した浮世絵や障壁画の保存修復、被災した文化財の復元技術を飛躍させる理想的な絵具として活用できるか、木版画などの制作によって比較検証を担当。

問い合わせ

愛知県立芸術大学 芸術資料館
〒480-1194 愛知県長久手市岩作三ケ峯1-114
TEL:0561-76-4698(平日9:00-17:30)
http://www.aichi-fam-u.ac.jp/

主催等

主催:愛知県立芸術大学 岩間賢研究室

研究協力:DIC 株式会社・DIC グラフィックス株式会社・東京藝術大学

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